株と投資信託の違い|株初心者は知っておきたい②

金融機関の店頭でよくチラシを見かける投資信託。これから「株をはじめるぞ」という人は、金融関係のニュースにぎゅんぎゅん電波塔を立てている状態です。何となく興味を持ってさらっとチラシを見て「株が入っている?」「投資信託ってつまり何よ」となっていませんか。

金融サービスのチラシって、難しい用語がならんでいて、とにかく難しいという印象です。「難しくて意味がわかりません」と窓口に来たところを勧誘するためにわざわざ難しい用語を使っているのではないかと勘繰りたくなるくらいです。

これから株をはじめる人は、簡単に投資信託などの他の投資と株の違いを知っておきましょう。知ることで、新しい株の魅力的な1面が発見できるかもしれません。投資信託と株の似ているところを簡単に解説し、しかる後に違うところを2つのポイントで解説します。

投資信託ってなに?「色々な料理のセット」が投資信託!

投資信託は、株や債券などをプロの観点から組み合わせた金融商品(金融界のセットメニュー)です。

デパートのレストランを思い浮かべてください。メニューにパスタやサラダ、カレー、ラーメンなどの単品メニューがあります。この単品メニューが株や債券、不動産だとしたら、投資信託はカレー定食やラーメン餃子セットのように、それぞれの単品メニューをほどよく組み合わせたセットメニューです。

投資信託には株と株の組み合わせや債券と株の組み合わせも

投資信託には、債券や株式をバランスよく組み合わせたタイプや、色々な株式を組み合わせたタイプ、特定の分野の株式を組み合わせたタイプなどがあります。

たとえば、「THE 5G」の愛称で親しまれている「次世代通信関連 世界株式戦略ファンド」という投資信託は、A社株という特定の会社の株式にピンポイントで投資するのではなく、通信関連の会社の株式をプロが組み合わせたセットメニューに投資する投資信託です。

株式への投資は特定の会社へのピンポイント投資であり、ラーメンやオムライスといった単品メニューを注文することに似ています。投資信託はオムライス定食(サラダやスープ付き)やラーメン定食(ライスや餃子付き)を注文することに似ています。

色々な種類の株に投資したい!こんな時に投資信託が重宝

株に投資したい場合、広範囲の色々な株を所持することは、お金も手間もかかります。こんな時は、色々な株を組み合わせた投資信託に投資することも方法の1つです。

例えば、医療系の会社の株式に投資したいと考えていたとします。しかし、医療系の会社の株も1つではありません。医療に関わる会社で株を発行している会社はたくさんあります。なかなかどの会社に投資するか選べないことがあります。また、医療系という大きなくくりで色々な株に投資したいという場合、1つの株に絞ることはなかなか難しいことでしょう。こんな時は投資信託の出番です。

SMBC日興証券に、「フューチャー・バイオテック」という投資信託が登場しました。バイオテクノロジー関連企業株を組み合わせた投資信託です。このように、「1つの会社ではなく1つの分野へ投資したい」「色々な株を所持したい」という希望がある場合、投資信託も検討対象に入れることで、より自分の希望する投資ができます。

株と投資信託の似ているところは「値動き」「種類」「手数料」

株と投資信託の似ているところは「値動き」「種類」「手数料」です。

まず、株と投資信託は「1つのものを指す」わけではありません。株にはA社株やB社株など、色々な株があり、それぞれの株に配当金がついていたり、株主優待がついていたり、独自の値動きを見せたりと、個性があります。

投資信託もこれは同じで、A投資信託やB投資信託など、色々な種類があります。ゆうちょの窓口で「本日の投資信託の値動き」一覧を目にした経験はありませんか。投資信託にも色々な種類があるのです。そして、それぞれ値動きしています

株と投資信託は、それぞれの会社によって取り扱っているもの(商品)が異なるという類似点もあります。A魚屋とB魚屋では仕入れ先や仕入れ担当が違うわけですから、結果的に商品も変わってきますよね。それと同じです。具体的に見てみましょう。

野村証券みずほ証券の投資信託を見てみてください。「あれ、微妙に投資信託が違っているような?」と思いませんか。現在、投資信託は6,000種類以上あると言われています。しかも、毎年もの凄い勢いで増えています。居酒屋メニューも、入れ替えがあったり、増えたりしますよね。投資信託も同じです。

また、投資信託の購入や売却には基本的に手数料が必要になります。これも、株と投資信託の似ているところですね。

投資信託と株の大きな違いは「単品かセットか」と「運用する人」

投資信託と株の大きな違いは、単品メニューかセットメニューかというところです。株はピンポイントで「A社株を買う」という感じの投資をしますが、投資信託はそもそも単品ではなく色々な株や債券をその投資信託の方針に則って混ぜたセットメニューなので、株とは「単品」「セット」という違いがあります。これ、とても重要なところです。

それと、もう1つの大きな違いに、「運用する人」の違いがあります。

株は買った本人が運用します。証券会社に「A社株を買ったから、儲けが出るように運用しておいて」と丸投げすることはできません。売るも買うも自分の判断ですし、値動きのチェックも全て自分です。自分でお金を動かし、自分で運用するのが株投資です。投資信託の場合、ちょっと違います。

投資信託は投資信託内に含まれる株を自分で運用するわけではありません。投資信託ごとにちゃんとプロの投資担当者がついており、プロが運用してくれます。投資する側は投資信託に投資し、運用はプロに丸投げでOKです。難しい経済の知識は必要ありません。売却や買い足しはもちろん自分の判断でできますが、自分自身で全て運用をするのではなく、プロに運用を任せることができるという特徴があります。

投資信託に含まれる株に株主優待や配当金がついていたらもらえる?

投資信託の場合、投資信託に含まれる株に株主優待や配当金がついていても、投資信託に投資した人は個別の株の株主優待や配当金を直接受け取ることはできません。株主優待や配当金を狙う場合は、個別の株(A社株など)に投資することになります。

自分が「何を目的にして株に投資するか」はとっても重要です。株に投資したいと考えている時に金融機関の投資信託のチラシを見ると「お、投資信託にも株が含まれている?投資信託でもいいのでは?」と思ってしまいます。でも、株へ投資する目的が個別株の値動きを利用して利益を得ることや、株主優待や配当金を狙うことの場合、投資信託へ投資してしまうと、自分の目的とずれてしまいますよね。

株に投資する時は、しっかりと「自分は何を目的として投資しているのか」を定めておくことが重要です。株と投資信託のどちらに投資するか迷っている時の判断に役立つだけでなく、A株とB株を比較する時も「目的」をしっかり持っていると取捨選択に役立ちますよ!

自分は株のどんなところに魅力を感じているのか。投資で何がしたいのか。金融商品のチラシを見て情報に溺れそうになった時は、自分の胸に手を宛てて、よく考えてみてくださいね。